連載 健康課題としての放射線防護 保健師による実際的な活動モデルに向けて・1【新連載】
原子力災害復旧期における保健師活動―放射線防護文化の形成をめざして
麻原 きよみ
1
1聖路加国際大学
pp.424-428
発行日 2014年5月10日
Published Date 2014/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664102417
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原子力災害への保健師の取り組みは今も続いている
災害はいつも突然やってくる。何の前触れもなく。公衆衛生と看護の専門職であり公務員である自治体保健師は,住民のためにどのような困難な状況下でも対応せざるを得ない。災害時の活動マニュアルはあっても,災害の種類,季節や時間帯,被害状況や資源の充足状況などで対応は変わってくる。保健師の活動には決まりきったマニュアルがあるわけではなく,対象の状況に合わせてつくり出していくところに特徴がある。災害における保健師活動は,まさにそのような活動が行われる場である。
2011年3月11日の東日本大震災は未曽有の被害をもたらしたが,福島の原子力発電所(原発)事故は私たちの予想をはるかに超えたものであった。目に見えない放射線・放射能は不安を掻き立てる。混乱する情報,住民の不安と怒り。このような混乱の中で,現地の保健師は自身も被災しながら住民のために懸命に対応し続けた。
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