特集 健康危機管理
健康危機発生時の行政対応―医療側からの要望
①原子力災害
鈴木 元
1
1国立保健医療科学院生活環境部
pp.192-194
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100257
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原子力災害と限定してしまうと,核施設のある17道府県以外の自治体は関係ないと思われる恐れがある.しかし,放射性物質を何らかの方法で散布するテロ行為や,RIや,ポジトロン核種の輸送事故は,核施設のない人口密集地でも発生する可能性がある.これらの事案に際しても,原子力災害に準じた健康危機管理が要求される.
原子力災害・放射能散布事故の特殊性
NBCR災害の中でもN(核)R(放射能)災害に対する対応においては,鋭敏な測定機器により微量の放射能(放射性物質)まで測定できるというメリットがある.しかし,測定された放射能レベルから被曝線量を推計し,さらに健康リスクを量的に説明できない限り,「放射性物質が環境中に放出された」という情報は一人歩きし出し,パニックを引き起こすだけである.素早い行政対応が望まれるゆえんである.
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