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はじめに
血管撮影検査に従事している者は誰でも,患者の受ける線量を減らすことや,従事者が安全に作業できるように放射線の防護をしなければいけないことを知っている.ところが,循環器科医師や看護師,臨床工学技士などは,それぞれの教育課程で放射線に関する専門の教育を受けていないので,具体的な方法を知らないことが多い.一方,最近の血管撮影装置は自動化が進み,必ずしも診療放射線技師(以下,技師)がいなくてもとりあえずは診療に供する画像が取得できるので,血管撮影室に放射線安全管理を担当する技師がいないことが見受けられる.
施設の放射線に関する安全管理者(放射線科医師もしくは診療放射線技師)は,放射線診療従事者に放射線安全管理に関する教育訓練を実施しなければならない.現在,多くの施設で放射線安全管理を目的とした教育訓練が実施されているが,日常業務と乖離した内容のものが見受けられる.放射線の種類(X線,γ線,β線,α線)や,放射線による生物学的影響(突然変異など)は知識として有用ではあるが,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行中に透視時間が1時間を超えようとするときの解決策にはならない.三原則(距離,時間,遮蔽)は,すべての放射線防護における基本事項であるが,知識を持たない者にとっては具体的な行動につながらない.
本稿では,患者と従事者の受ける線量を低減する具体的な方法について解説する.なお,本稿に示した数値は筆者が使用した装置を用いて実測した結果であるが,線量低減の割合は装置によって異なるので,この数値が読者の使用している装置にそのまま当てはまるとは限らない.要は,傾向を把握することが重要なのである.個々の具体的な数値は,装置を使用するに当たって,実際に測定するか,メーカに確認することをお勧めする.
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