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はじめに
社会情勢の変化や制度・法改正などにより,保健師の業務は,20年前の3~4倍の事業が国から移譲され,業務量は増大するとともに,虐待・健康危機管理・生活習慣病などの健康課題の対応により高度な専門能力が求められるようになっている。また,近年は,団魂の世代の退職による保健師業務の継承が危惧されることから,次期を担う保健師の人材育成が大きな課題となっており1,2),高松市(以下,本市)でも,2010(平成22)年度から保健師の技術習得に焦点をあてた新人教育に取り組んでいる3)。
本市は香川県のほぼ中央に位置し,南は讃岐山脈,北は瀬戸内海に向かって讃岐平野が広がる温暖な気候で,1999(平成11)年4月,中核市に移行し,2005(平成17)年度には周辺6町と合併し,2012(平成24)年4月1日現在の人口約42万人,世帯数約17万8000の市である。
1999年4月に中核市となり,保健所と市町村機能を合わせもったことで,保健師の配置部署が増加した。さらに,2006(平成18)年度には地域包括支援センターが保健所内に設置され,2012年4月1日現在保健師の配属部署は8か所となり,保健師総数(正規職員)は90名となっている。とくに保健センターの保健師は20~30代が多く,平均年齢は37.6歳で,2011年度の産後・育児休暇取得者は55名中11名と20%を占め,休暇者のフォローが大きな課題となっていた。
このようななか,出産した先輩保健師の見舞いに訪れた後輩保健師が,「沐浴や乳房ケアの指導に自信がない」と言うのを聞いて,その先輩保健師が,「自分の子どもを沐浴の練習に使ってくれたらいい。授乳中のおっぱいに触ってみたらいい」と答えた。この会話をきっかけとして,先輩保健師から新人保健師への技術研修の提案が生まれた。
そこで,実態把握のため,入職後2年目までの新人保健師11人に対して,沐浴・乳房マッサージの技術習得状況のアンケートを実施したところ,学生時代の実習経験だけでは指導に自信がない者が多いことがわかった(表1)。
この結果をもとに,産後・育児休暇中の先輩保健師(以下,先輩保健師)の協力を得て,沐浴・乳房マッサージの技術研修(以下,研修)を実施し,その効果評価と課題を明らかにすることを目的に調査を行った。これらを明確化することは,新人保健師の教育プログラムの質の向上とともに,休暇中の保健師のフォローへの示唆が得られるという意義をもつと考えるので報告する。
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