研究
水俣病対策における保健師活動の言いづらさのもつ意味―聞き取り結果における対象と保健師の立ち位置の難しさ
川田 由美
1
1天草市立本渡看護専門学校
pp.322-328
発行日 2014年4月10日
Published Date 2014/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664102393
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■要旨
研究目的:水俣病対策における保健師活動の「言いづらさ」の意味を明らかにする。
研究方法:4人の保健師の聞き取り結果から,「言いづらさ」を活動時期別に方法と照らし合わせながら,立ち位置について分析した。
結果と考察:水俣病対策における保健師活動の「言いづらさ」は,対象の水俣病に対する立ち位置を見極めて関わる難しさと保健師自身の立ち位置の難しさを意味していると考える。対象には補償という経済的側面と偏見という差別的側面があった。保健師には,本人や家族だけでなく,親戚・地域の人々にまで広げ,時間の経過とともに変化する対象の水俣病に対する立ち位置を見極めて関わる難しさがあった。さらに,保健師自身の立ち位置の難しさがあった。保健師自身が自分たちの立ち位置を行政組織の中に置いていたため,保健師は行政組織の中と住民の求める立ち位置との間で揺れ動いていたと考えられる。
また,保健師にも一住民としての立ち位置の難しさがあったと考えられる。
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