特別記事
野宿生活の人々との関わりから―名古屋,大阪,沖縄での健康相談活動
白井 裕子
1
,
佐々木 裕子
1
,
井上 清美
2
,
稲垣 絹代
3
1愛知医科大学看護学部
2神戸常盤大学保健科学部看護学科
3名桜大学人間健康学部看護学科
pp.222-227
発行日 2014年3月10日
Published Date 2014/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664102369
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はじめに
バブル経済崩壊後続く経済停滞による企業の倒産や労働市場の縮小,規制緩和政策の中で大量に生み出される派遣切りや期間工切り,低賃金労働を強いたり精神的に追い込んで自主退職を迫るブラック企業など,雇用と労働に関する社会問題は散在している。こうした社会状況を背景に,野宿を強いられる人々は大都市のみならず,地方都市にも多く存在している。
野宿生活をするということは,生身の身体が路上にさらされるということであり,その人の健康状態に直に影響を与える。体調が悪いにもかかわらず,十分な治療をせずに生活している人も多い。時には,命の危険につながることさえある。
このような社会構造への疑問と,野宿生活者*の健康への関心をもった保健師・看護師が,全国でも野宿生活者が多く存在する名古屋,大阪,沖縄で,それぞれの地域性に合わせた健康相談活動を行っている。
本稿では,それぞれの地域で行っている実践を報告し,すべての国民の健康を支える看護専門職者として何が求められるのかについて言及したい。(白井裕子)
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