特集 ホームレスを診る
【ホームレスによくみられる疾患】
ホームレスの精神疾患―野宿者の生活の背後にあるもの
久場川 哲二
1
,
新村 秀人
1
1川崎市立川崎病院精神科
キーワード:
野宿者
,
定住性
,
徘徊
,
簡易宿泊
Keyword:
野宿者
,
定住性
,
徘徊
,
簡易宿泊
pp.308-310
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101393
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Case
典型的な成育歴を持つ野宿者の1例
患者:67歳,男性,無職.不眠を主訴に来院.
診断名:アルコール・覚せい剤精神病.
成育歴:生直後より両親不在.祖父母に育てられ,その後施設に預けられた.
幼児期から問題児であった.小学時代に父親が突然現れ,身体的暴力(虐待)を受け本人には外傷体験となった.小中学時代には粗暴行為が多く,成績は悪く,勉強はしたことがなかった.ほとんど学校に行かず不良交遊あり,たばこ・アルコールを覚えた.中学卒業後は大阪に出て職を求め一時期配管工をしたが,対人関係がうまくいかず,その後転職が多く職業は続かなかった.その後覚せい剤を乱用,1,2年後には幻覚・妄想(自分のことを悪くいっているような)が出現した.その後職には就かず,所持金もなく,友人から生活保護受給を勧められたが宿泊所がなく,友人と野宿を始めた.大阪,名古屋,川崎と転々とした.福祉事務所の勧めで簡易宿泊所を設定されるも定住できず,路上での生活を好んで選択する.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.