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はじめに
津市は2006(平成18)年1月1日周辺10市町村が合併し,新・津市となりました。「こころ豊かに楽しく元気に暮らそう」を健康づくりの大目標に,合併直後に「津市第1次健康づくり計画」を策定し,2012(平成24)年度からは第2次健康づくり計画(以下,計画)に取り組んでいます。計画の中では「子どもが健やかでこころ豊かに育つ人の輪を目指そう」を重点的な取り組みの1つとしています。
母子保健推進員は地域で暮らす親子が安心して子育てができるように,親子を支え,支援が必要な親子に出会った時は保健師へつなぐ役割や,地域での見守り・身近な相談役としての役割を担っています。
母子保健推進員の活動の中心は個別の訪問活動です。そのため,他の推進員の訪問の様子がわからず,自己の訪問の内容に不安や疑問を抱いたり,親自身の子育てに対する現在の思いを共有しづらい,推進員同士の連帯感をもちづらいなどの課題がありました。また,地域における母子保健推進員の認知度も高いとは言えず,訪問の際に警戒されたり,誤解を受けることもあり,母子保健推進活動についての啓発を強化する必要がありました。
母子保健推進員の意見を受けとめ,推進員同士の交流の機会を意識して増やすことで,連帯感や活動意欲が向上しました。また,健康まつりで多くの親子と出会い,子育ての喜びを分かち合うことで,母子保健推進員として何ができるのかを考えるきっかけとなり,より自主的な活動へと発展していきました。これらの母子保健推進員への支援の過程を中心に報告します。
三重県津市では2013年3月31日現在,81名の母子保健推進員「つぼみん」が活動しています。「つぼみん」とは,「津市の母子をみんなで支える」という,推進員たちの強い思いから生まれた愛称です。地域で暮らす親子が安心して子育てができるように親子を支え,支援が必要な親子に出会ったときは保健師につなぐ役割を果たしながら,子育て広場の開催や教室協力を通じ,親子同士をつなぐ役割を担っています。
保健師はつぼみんとつながりながら,つぼみん自らもち備えていた意欲や活動への思いを受け止め,寄り添い,地域でのつぼみんの存在を啓発するため,車の両輪のように動いてきました。つぼみんが地域において生き生きと活動する姿を紹介します。
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