- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
私たち,地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センターは現在,自治体の業務や住民活動などのお手伝いをしています。具体的には,健康や福祉の計画策定,活動の評価,あるいは専門家の研修,市民リーダーの育成やその活動の活性化,行政と医療や福祉の機関との連携強化などのお手伝いなどです。
そのきっかけとなるのは,ほとんどが行政の保健師さんや栄養士さんなどからの相談です(図1)。これらの課題に対応する方法としては,さまざまな進め方があるかと思います。私たちは,統合的な思考枠組み(統合思考)を基盤とした戦略的な進め方として,地域づくり型保健活動(SOJO model)を提示し,1995(平成7)年に『地域づくり型保健活動のすすめ』,2003(平成15)年に『地域づくり型保健活動の考え方と進め方』として出版しました(いずれも医学書院)。
出版からこれまで,いろんな地域での実践や研修などの場をとおして,実践された方たちからさまざまなご意見や疑問などを提示していただきました。また,私たちの体験も新たな学びや進め方の改善などをもたらしました。
さらに,この10年間の活動では,単に保健分野のテーマに限らず,福祉分野や商店街の活性化,公園整備などでも,同じような進め方を応用できることがわかってきました。いま,ある町では,発達障がいのある子どものことについてSOJO modelをもとに話し合っています。
今回のシリーズでは,まず,地域づくり型保健活動というものを概観し,図1に挙げたような相談事例への対応を考えながら,統合的な思考枠組みや戦略的な進め方なども含めて,地域づくり型保健活動とは何かということに迫っていこうと思います。
SOJO modelとはSystem Oriented Joyful Operationの頭文字をとったものです。保健所や市町村で保健活動を進める人たちの,「自分たちは,本当は何をめざして活動を進めているのだろう,健康づくりとはそもそも何だろう」という問いかけから始まり,熊本県蘇陽町での活動のなかで開発された考え方や展開方法です。ですから,SOJOと書いて,「ソヨーモデル」と呼びます。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.