特集 "国民健康づくり"を考える
地域保健活動と"国民健康づくり"
新 泰雄
1
1岡山県医師会
pp.532-535
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205896
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■はじめに
筆者は岡山県医師会にあって,10年余り主として地域保健部門を担当してきた.何の成果もあったわけでなく,視野も狭いので,この小文を発表するには忸怩たるものがあったが,先輩,本域明郎氏の激励により提出することとした.見苦しい点が多々あるものと思うが,ご容赦願いたい.
昭和22年に定められた県医師会の定款には,目的として公衆衛生の向上,社会福祉の増進がうたわれている.今だったら,これが"地域保健"とか"健康づくり"とかいわれたであろう.当時は"地域保健"という言葉はなかった.公衆衛生が背景の変化に対応して,地域保健へと変わったとも考えられ,その概念はほとんど同じともいえるが,全く同じ内容ではない.それは,地域住民の積極的参加のある,なしによると思われる.今日,"公衆衛生"という言葉は使用されることが少なくなり,"地域保健"は頻繁に用いられるようになった.しかし,医学部の教育過程には"公衆衛生学"はあるが,"地域保健学"はない.一方,医師は地域保健の専門家として取り扱われている.筆者は地域保健は公衆衛生学の実践の場であり,社会活動がそれであると考えている.
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