連載 地域精神保健の展開—精神保健センターの活動から
生活の場づくりを通しての地域精神保健活動
後藤 雅博
1
1新潟県精神保健センター
pp.876-879
発行日 1994年12月15日
Published Date 1994/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901167
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【はじめに】
最初に編集部から依頼を受けたときの題名は,「社会復帰の受け皿づくりを通した地域精神保健活動」となっていた.けれども「受け皿」という言葉には,どうも屋台のコップ酒であふれた酒を無駄にしないためにコップの下に置く皿の「こぼれた余分のものを受けとめる」というイメージがつきまとう.それで題名は表記のようにした.
精神医療での受け皿というと普通は施設を指したり,家族を指したりする.それは病院から退院をする場合のみを想定しているからであり,「病院からあふれでた」ものを受ける,というニュアンスがある.いわゆる病院精神医療の考え方の反映である.地域精神医療の観点では,社会復帰施設も家族も「受け皿」ではなくて,本来のあるいは今後の生活の場である.少なくともこれからの社会復帰関連の施設を語るときには,コップ酒の受け皿のイメージはないほうがいいように思う.
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