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■要旨
在宅高齢者693人(男性318人,女性375人)を分析対象者として,地域包括支援センターの利用意向とそれに関連する特性を調査分析した。地域包括支援センターの認知度と利用意向の有無のクロスから,地域包括支援センター利用意向の「あり」群(268人;男性109,女性159)と「なし」群(207人;男性103,女性104)の2群に分け,基本属性,基本生活機能,心理・社会的特性の19特性について2群を比較し,地域包括支援センター利用意向の「あり」群に関連する特性を分析した。その結果,以下のことが見出された。
①男性高齢者では地域包括支援センター利用意向の「あり」群が「なし」群に比べて,自己効力感とコントロール感が低い結果であった。
②女性高齢者では地域包括支援センター利用意向の「あり」群が「なし」群に比べて,「あまり健康とは言えないが病気ではない」(健康状態)が多く,口腔機能低下や閉じこもりが多く,ソーシャルネットワーク,自己効力感およびコントロール感が低く,また孤独感が強い結果であった。
注目すべきは,男女ともに地域包括支援センター利用意向の「あり」群は「なし」群に比べて,自己効力感およびコントロール感が低いという結果であった。自己効力感は高齢者のQOL(生活の質),社会的活動性,健康行動や介護予防などの多様な意識・活動を規定する要因である。したがって,地域在住高齢者の自己効力感を高めることは介護予防や健康維持に寄与することはもとより,地域在住高齢者がQOLを高め,安心して尊厳のある生活を送ることを支援することになる。よって,地域包括支援センターが実施する各種支援プログラムのなかに高齢者の自己効力感を高める内容を含めることがきわめて重要であろう。
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