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避難所運営をゲームで学ぶ―静岡県で開発されたHUGの普及啓発の取り組み/HUGで避難所運営を学ぼう!―静岡県における避難所運営ゲーム・HUGの普及啓発活動から
林 繁久
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1静岡県危機管理部危機情報課
pp.835-837,874-879
発行日 2012年10月10日
Published Date 2012/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101984
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はじめに
日本列島の太平洋岸ではプレートの潜り込みによる地震が繰り返し起こっており,その周期はおおむね100~150年となっています。1854年の安政東海地震以後,東海地方より西側では1944(昭和19)年に東南海地震が,1946(昭和21)年に南海地震が発生しています。しかし,駿河湾から御前崎沖ではいまだに大地震が発生しておらず,地震のエネルギーが蓄積されていると考えられており,「大地震がいつ起こってもおかしくない」と,近い将来の大地震発生が予想されています(図1)。
静岡県では,1976(昭和51)年に発表されたこの東海地震説をきっかけに,東海地震対策が始まりました。静岡県の防災体制を図2に示します。
大地震から身を守るためには,普段からさまざまな備えを講じておくことが必要です。個人や家族,あるいは行政の力も必要ですが,限界があります。「自助・共助・公助」という言葉もあるように,災害発生時はもちろんのこと,日頃から隣近所の人たちが互いに協力し合い,防災活動に組織的に取り組むことが大事です。そのための組織として,「自主防災組織」があります。
静岡県は,2007(平成19)年,避難所運営をゲームで学べる「HUG(ハグ)」を開発した。災害の際に率先して活動できる人材の育成をめざし,県内の自主防災組織の住民や,次世代の防災を担う大学生らを対象に研修会を行っている。こうした研修においてHUGを利用することにより,避難所の運営,ひいては「避難所へ行かないためにはどうするか」を学べるようになっている。
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