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―『質的統合法入門』考え方と手順―混沌から本質を探り,高い専門性を養うために
三輪 眞知子
1
1梅花女子大学看護学部
pp.739
発行日 2012年8月10日
Published Date 2012/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101946
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保健師の役割は,公衆衛生行政の最先端で地域住民と関わり,住民の生活や生き方に何が起きているのかを見極めながら,疾病予防や健康づくりを支援することにある。そのためには,地域の的確なアセスメントを行い,健康課題の把握・介入計画の立案・評価までを自律的に推進しなければならない。つまり,保健師の専門性は,混沌としてとらえどころのない住民の日常生活からその本質を見抜き,健康課題の解決を導くことにあるといっても過言ではないだろう。
本書で紹介されている質的統合法は,そうした保健師の専門性を高めるために大いに活用することができる。質的統合法はその名のとおり,さまざまな「質的データ」を「統合」して理解するための方法である。第1章でも書かれているように,この方法は川喜田二郎氏がそう案した「KJ法」や「創造的問題解決」といった考え方をベースにしていることもあって,保健師の日々の実践的な実態把握や問題解決によくフィットする。
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