連載 『保健婦雑誌』に見る戦後史・5
井戸と水道
木村 哲也
pp.730-731
発行日 2012年8月10日
Published Date 2012/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101943
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■消化器系伝染病と水
「汚い手で井戸の水を飲むでしょう。手に菌がついていたら,それで赤痢でもなんでもかかってしまう。昔の井戸のつるべは,そりゃ汚かったのよ」。この言葉が,印象に残っている。
退職された保健婦経験者からの聞き書きをしていると,現在ではほぼ問題にならなくなった病気について話をうかがう機会が多い。赤痢や腸チフスといった消化器系の伝染病もそのひとつだ。そんなにたびたび経験する病気ではないが,ひとたび発生すると,水を介して爆発的に感染者を拡大させる場合もあった。主な感染源は,井戸や簡易水道である。1950~60年代の『保健婦雑誌』のバックナンバーをたどってみると,井戸や簡易水道と伝染病予防の知識を解説した記事が多く目に入る。
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