カラーグラビア 彩色医療図絵
小石川養生所の井戸
石原 明
1
1横浜市立大学医学部
pp.5
発行日 1971年11月1日
Published Date 1971/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916165
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映画“赤ひげ”の活躍舞台となった小石川養生所のあとは,この古井戸しか残っていない。1722年に江戸小石川の開業医,小川笙船(しょうせん)が貧困者のために施療施設を建てて救済することを幕府に進言した。この提案はすぐに採用され,幕府直属の薬草栽培場敷地内にできあがった。東西64m,南北62mの地に最盛時には150床の施療病院と外来診療所があり,明治にいたるまで江戸唯一の救療施設として存続した。ここに働いていた女の人は日本の職業的看護婦の草わけである。この井戸は145年にわたり,恵まれない患者の用を足したばかりでなく,大正12年の関東大震災のとき,ここに避難した人たちにも恩恵を与えた。現在は東京大学に属する小石川植物園の中にある。
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