連載 いま知っておきたい環境問題・4
水道水
国包 章一
1
1国立公衆衛生院水道工学部
pp.334-339
発行日 1999年4月10日
Published Date 1999/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901966
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はじめに
水道水の健康影響についての関心が,ますます高まってきています。最近では,ダイオキシンや環境ホルモンなども環境汚染物質として注目を集めており,水道水はどうなのか心配されている方も多いと思います。実際に水道水中には,これらの物質が含まれていることもあります。しかし,たとえば水道水中から猛毒のダイオキシンが検出されたからといって,それだけで大騒ぎすることはありません。なぜなら,ごく微量でも存在すれば簡単に検出されるまでに分析技術が進歩してきているからです。そして,よく知られているように,廃棄物の焼却などが原因で私たちの身の回りの環境がダイオキシンによってすでに広く汚染されており,水だけが汚染を免れることはありえないのです。それよりも,いまいちばん重要なのは,私たちが水道水を通じてこのような有害化学物質を,健康に影響があると考えられる程度に摂取しているかどうかということです。
そこで,本稿ではこのことを中心に,最近話題になっているいくつかの有害物質や病原微生物のことも含めて,できるだけわかりやすく述べてみたいと思います。
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