特集 水道問題の展望
水道施設
左合 正雄
1,2
1東京大学(工学部)
2公衆衛生院
pp.13-21
発行日 1955年5月15日
Published Date 1955/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201558
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I.緒言
我々の水道に対する常識的な概念からすれば,水道とは何時でも安心して飲用に供し得る水が豊富に成可く安く供給され,又一旦火災時には消火に役立つ施設である。そのためには給水栓から出る水量は使用水量を充たし,水圧が適度にあつて,水質は飲料水判定標準に合格するものでなければならない。これは大都市の水道でも町村の簡易水道でも,水道と言うからには満足しなければならない条件である。
従つて水道は現在並びに将来とも出来るだけきれいな水を必要な水量だけ確保し得る水源を求め,成可く簡単な方法で浄化し,安全確実に給水し得るものであることが望ましい。ところが今日大都市の水道の配水量は莫大で,しかも日増しに増加するから,必ずしもその需要に応じるきれいな水源を求め得ないので浄水方法は次第に難しくなつて来ている。一方今日の浄水方法には限度がありどんな水でも水道の水源に利用出来るわけではないから,河川等の公共水の汚濁を防止する必要がある。
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