調査報告
保健所が取り組むがん患者への在宅緩和ケアの課題―遺族へのフォーカス・グループ・インタビュー調査から
細田 舞
1
,
今若 陽子
2
,
山口 満明
3
,
杉谷 亮
1
,
栂瀬 道夫
1
,
平賀 瑞雄
3
,
中谷 久恵
4
1島根県出雲保健所
2島根県松江保健所
3島根県隠岐支庁隠岐保健所
4広島大学大学院保健学研究科
pp.330-336
発行日 2012年4月10日
Published Date 2012/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101844
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■要旨
保健所が取り組む在宅緩和ケアの推進における課題を明らかにし,施策に反映させる目的で,がん患者遺族を対象にフォーカス・グループ・インタビューを行った。調査対象者の条件は,患者または家族が告知を受けて在宅での看取りを希望し,介護保険制度を利用しながら麻薬による疼痛コントロールを行っていた遺族とした。インタビュー内容は(1)在宅療養で困難だった事柄,(2)在宅緩和ケアを実現するための支援についてである。
調査は2009(平成21)年9月に,保健所にて実施した。その結果,療養の場を決定する時期には【余命の生き方における本人や家族の意思決定への支援】が必要であり,在宅療養へ移行する時期には病院や地域に【退院時からチームで支援する体制づくり】や【在宅療養を円滑に開始するための専門窓口の設置】【充実した在宅療養を継続するための支援】が求められ,看取りの時期には【在宅で看取りを実現するための苦痛に対する医療的支援】と【看取りを支える地域の基盤整備】の6カテゴリと,それに伴う22のサブカテゴリが得られた。
この結果をもとに,これまで圏域で取り組んできた緩和ケア対策に2つの課題と16の支援内容を加えた改定案を策定した。保健所が行うがん患者への在宅緩和ケアには,医療機関をはじめ,職域や教育部門との連携の強化など,幅広い取り組みが望まれることが示唆された。
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