- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■要旨
昨今,医療依存度が高いまま退院するケースが増加しており,在宅に移行した患者に対する地域保健師の役割が期待されている。行政機関における相談窓口の設置以来,在宅療養の患者を取り巻く療養環境の整備も含めた相談,地域施設・福祉サービスなど社会資源の紹介・申請など,地域と病院をつなぐ調整機能が求められている。そこで,地域での療養生活の質の向上および広域的看護連携の充実強化につなげることを目的に,行政で働く保健師の「継続看護」実施状況について分析を行った。
アンケートでは,愛知県内の保健所38施設,市町村85施設,合計123施設に自記式質問紙を送付し,266件の回答(回収率:72.0%)を得た。所属別回収数(回収率)は,保健所93人(81.5%),市町村172人(67.4%)であった。回収したアンケートのなかから,保健師活動上立場の違う,県と政令市の保健所保健師87名と市町村センター保健師104名について検討を行った。
調査内容は,対象者の属性および「継続看護」に関する各種項目(認知度,退院時調整会議,連携の問題点,社会福祉制度,患者のニーズなど)とした。
結果は,継続看護の認知度については保健所96.6%,センター73.8%で,概ね両機関ともよく認知していた。しかし,実際の継続看護への関与を示す継続看護実施率(保健所61.5%,センター10.5%),退院時調整会議の参加機会(保健所61.9%,センター31.4%)はセンターが保健所より有意に低かった。継続連携における保健師の役割については,「地域のコーディネーター的役割」の項目が全体で6割を超えていたが,「連絡調整機能的役割」を示す項目は低率を示した。継続看護を充実させるために必要なものとして全体の6割以上の回答者が「保健医療福祉の広域的な連携」「担当者同士の顔合わせができる『場』の設定」「地域のネットワークの活性化」などをあげており,役割認識が高かった。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.