調査報告
市町村が行う機能訓練教室参加者の社会性の拡大に関する検討―主観的ソーシャルスキルと社会的交流を視点とした評価より
山田 典子
1
,
佐藤 玲子
2
,
横山 宏美
3
,
山本 美樹
3
,
平間 チヨミ
3
,
丹羽 喜代子
3
,
猿山 悦子
4
,
竹澤 良子
5
,
吉田 ユリ子
6
,
真船 拓子
7
1青森県立保健大学
2杏林大学
3横浜市
4小山市
5野洲町
6安心院町
7前新潟大学
pp.626-633
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100745
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■要旨
本稿では,行政の保健師が関与する介護予防事業である機能訓練教室参加者に対し,機能維持や生きがいづくりに関する変容を明らかにすることを試みた。
調査対象は5市町村の機能訓練事業参加者200名で,独自の評価スケールを用いた質問紙調査を実施した。調査期間は,1999年12月から2002年2月までであった。
「社会的交流」「IADL」「主観的ソーシャルスキル」の3因子をもとに調査票を用いて評価し,地域機能訓練教室の効果を振り返った。その結果,参加者の外出の機会や社会的な交流の場が確保され,身体機能の保持や一部向上が図られ,IADLやソーシャルスキルなどに改善や拡大がみられた。また,保健師の関わりにおいては,参加者の生活背景を把握し,家族を巻き込み,利用者を励まし,活動への継続参加を可能にすることで,参加者の対人社会性の再構築と活動面の拡大を促進する役割を果たしていたことがわかった。
機能訓練事業参加により「外出の機会や社会的な交流の機会」が確保され,身体機能の維持・向上を図ることができただけでなく,継続してはたらきかけることで移動に関するIADLに大きな変化がもたらされた。また,個人の内面的な変化が家族から近隣へと広がり,「対人社会性の再構築」が促され,「社会的活動面の拡大」を図ることができた。
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