報告
老人保健法に基づく機能訓練事業の意義と保健師の役割の再検討―参加者の自己評価より
山田 典子
1
,
佐藤 玲子
2
,
半田 祐二朗
3
,
真船 拓子
4
,
杉山 克己
1
1青森県立保健大学
2東京慈恵会医科大学
3北海道医療大学
4前新潟大学
pp.741-744
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100474
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老人保健法に基づいて各自治体で行われている機能訓練事業は,介護保険法の施行と並行し,閉じこもり・孤立などの社会的障害の回復,予防に重点を置くこととなった.同時にその対象者も,介護保険認定外の虚弱老人が中心になる方向へと移行した.
これらが追い風になったのか,それぞれの自治体政策決定側と直接運営に携わる保健師から,「機能訓練事業の効果を評価したい」という要求が高まっていった.例えば,佐藤らは経験的に感じていた心理社会面での改善の評価を試みている1).また,島田らはQUIKを用いて機能訓練事業のQOL改善の効果を述べており2),横塚らはQUIKの下位尺度の分析から,機能訓練事業は利用者に自信を持たせ障害受容促進に効果があるとした3).また,黒田は関係者も交えた評価を試み,家族や民生委員などの期待が高い一方で,これらの協力のないところでは自力歩行できないと参加継続が難しいことを示した4).さらに,河野らは機能訓練事業への参加群と非参加群を前向きコホート法で比較検討しており,その結果,機能訓練事業は認知機能や抑うつの悪化予防に効果があり,閉じこもり予防や介護予防を期待できるとした5).
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