連載 フィールドワーク往復絵手紙・1【新連載】
寄り道
星野 晋
1
1山口大学医学部・文化人類学(医療人類学)
pp.60-63
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100666
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台北近郊に竜山寺という寺廟がある。1738年に建立されたという古寺だ。本堂は終戦後に再建されたものであるが,なかなか趣があり,パック・ツアーには必ず含まれる観光スポットである。日本からはじめて台湾を訪れる人にとっては,その境内を歩くだけでも存分に異国情緒が味わえる。
香炉の煙が立ちこめるなか,線香を束ねて掲げ,ひたすら祈るおばさんたち。ポアポエと呼ばれる,朱塗りの半月状の占い道具一対を用いて,引いたくじ棒が自分のものであるかを何度も占ったうえで選ぶ手の込んだおみくじ。神仏への賽銭は,金紙という紙を購入しそれを燃やすという方法をとること,などなど。観光ならばこれで十分。でもせっかくだから,ちょっと寄り道をしてみよう。
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