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■要旨
介護保険での訪問看護サービス活用の実態を明らかにし,訪問看護の的確な活用を促す課題を検討するため,東京都S区の全介護支援専門員を対象に質問紙調査を行った。199名(回収率97.1%)から回答を得た。
結果,87.9%が訪問看護を活用した経験があったが,「本人や家族が希望しない」「限度額に収まらない」「自己負担を抑えたい」「主治医の承認が得られない」「ステーションの容量不足」などの理由で,活用が思うようにいかない実態があった。「医療保険が介護保険に優先する制度」「難病の自己負担助成」「医療保険となる特別指示書の制度」の周知が不十分であった。
介護支援専門員が訪問看護導入を必要と考える状況は,医療依存度の高い受給者に対しては多かったがすべてではなく,自立支援,悪化予防,家族支援の視点では必要性の認識は低かった。また介護支援専門員の背景である専門領域により訪問看護の必要性の判断に違いがあることがわかった。
介護支援専門員はよりよいケアプラン作成のために,訪問看護に,日常的に相談できる体制,受給者や主治医にわかりやすいPRへの取り組み,医療面のコーディネート,さらなる質向上,供給体制の整備・強化を望んでいた。
以上のことから,ステーション側からも「ターミナル期や医療機器使用,困難な病状を抱えている場合の在宅生活支援」「医療面でのリーダーシップ」「後期高齢者や独居者をも対象とした健康回復や自立促進,悪化予防」「家族の健康管理や専門職でないケア提供者である家族への支援」などの役割がとれることをアピールする必要がある。活用促進のためには「積極的に介護支援専門員に連携を働きかけていくこと」「地域の住民や医療機関,関係機関へ組織的に訪問看護サービスの制度や効果をPRしていくこと」が重要である。
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