農山村地域における事業所の健康管理状況と地域保健サービスの提供に関する調査

■要旨

　企業における健康管理状況の実態と，地域保健サービスへのニーズの把握を目的に，静岡県北遠保健所管内の事業所70か所を19人の保健師らが訪問し，さらに事業所の健康管理担当者にグループ・インタビューを実施した。事業所の90％以上は法定の健康診断を実施していたが，健診後の精密検査，保健指導の実施などの事後措置は，従業員50人未満の事業所で実施割合が低かった。また事業所の健康管理の担当は主に一般事務職が多く，健診データの分析は医療保健専門職のいる一部の企業のみで実施されていた。看護職や衛生管理者などの健康管理担当者がいる23事業所のほうが健康管理状況や健康管理に関する意識が高く，健康管理の担当者への教育・啓発作業の重要性が示唆された。さらに事業所は地域保健に対して，助成事業の活用，個人の保健行動につながる活用可能な身近で具体的な情報の提供，労働衛生週間事業への講師派遣などを期待しており，事業所のニーズに応じた多様な事業の展開が求められていた。