特集 国際化時代の保健活動を考える
国際化時代の保健師に求められること,今後の課題
大西 真由美
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際保健医療協力学
pp.1034-1037
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100424
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日本に住む外国人移住労働者への健康問題への支援は,保健師がもつスキルの応用で対応が可能である。既存のサービスの延長で行いうる支援のポイントについて整理する。
移住労働者の健康 世界の動き
世界保健機関(WHO)は,“International Migration,Health & Human Rights”1)のなで,さまざまなリスクに陥りやすい背景・環境にある移住労働者の健康状況を保障するために,保健医療サービスの供給体制はもとより,情報へのアクセス,保健医療サービスへの物理的および社会経済文化的アクセスの向上の重要性と必要性について述べている。グローバルな人の動きは,ますます活発になり,資格外滞在者も含めて,移住労働者の健康水準を向上させるための環境整備をすることは,彼らの人権保障として必須である。
日本は,移住労働者を受け入れるホスト国としての立場であるが,WHOはホスト国の役割として,「滞在資格によらず,移住労働者の保健医療サービスを含む社会保障サービスへのアクセスを自国民と同様に保障するべきである」と述べている。つまり,その国・地域に居住する者は国籍,滞在資格,人種にかかわらず,保健医療サービスを含む社会保障サービスを等しく享受する権利があり,国・地域はその環境整備をする義務があるということである。それは,日本においては,外国人登録の有無に関係なく,居住者に対しては等しく保障されるべき権利であるといえよう。
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