特別記事
思春期保健に求められる「うちなる国際化」—思春期リプロダクティブ・ヘルス・セミナーを通じて
高村 寿子
1
1自治医科大学看護短期大学
pp.704-710
発行日 2001年9月10日
Published Date 2001/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902485
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思春期リプロダクティブ・ヘルスの世界的背景
1999年10月12日,世界の人口は60億人に達した1)。人口爆発がもたらす影響については,世界規模でその対応が図られており,1984年のメキシコシティにおける国際人口会議では,各国間の相違を越えて人口・家族計画プログラムが定着した2)。さらに1994年の第3回国際人口開発会議(ICPD:カイロ会議)では,「リプロダクティブ・ヘルス/ライツの確立をめざし,近代的家族計画を普及させる」という20年後を目標とした行動計画が採択され,「2015年までに,すべての人が幅の広い,安全で信頼できる家族計画の手段と関連のリプロダクティブおよびセクシュアル・ヘルス・サービスを受けられるようにする」という行動目標が掲げられた。1999年にニューヨークで開かれた国連人口開発特別総会(ICPD+5)では,それらの行動目標が実際に実行に移されていることが評価されたが,妊産婦死亡率,安全でない中絶,ジェンダーに基づく暴力,思春期のリプロダクティブ・ヘルスなどへ対応する必要性は,なお緊急課題であることも強調された2)。
これらの経緯,特にリプロダクティブ・ヘルスに関しては,すでに本誌でも多面的な視点から取り上げられているが,思春期の若者に焦点を当てての論議はまだのように思われる。そこで本稿では,アジア・中南米・アフリカの13か国から13人の研修生が参加して開催された「思春期リプロダクティブ・ヘルス・セミナー」を紹介し,わが国の思春期保健に欠けていると思われる,世界的な目線で取り組みを精査し実践する必要性を提案したい。筆者はそれを思春期保健の「うちなる国際化」と表現している。
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