特集 公衆衛生の分野における国際化
国際的にみた保健協力活動の現状と今後の課題
丸地 信弘
1
,
松田 正己
2
Nobuhiro MARUCHI
1
,
Masami MATSUDA
2
1東京大学(医学部保健学科)保健管理学
2東京大学大学院
pp.6-15
発行日 1981年1月15日
Published Date 1981/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206223
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■はじめに
第二次大戦後の国際社会の特徴は〈地球社会〉の形成である.これは科学・技術の発展を背景に,貿易,海外投資,コミュニケーションなどが世界的規模で増加し,世界の諸事象が〈相互関連性〉を著しく増した状態を示している.その結果,〈カスケード構造〉といわれる巨大な不均衡状況を招来し,地球社会は質的に異なる2種類の交流パターンを生んだ1).ひとつは〈北〉の先進国間に世界の中枢交流を形成し,これは相互的性格が強い.他は〈北〉の特定国と〈南〉の特定途上国の間に群を形成するもので,一方的性格の強い交流(援助)をとることが多い.
本稿は,このような国際問題をわが国の保健・医療関係者が理解しようとするときに必要な基本的視点,その歴史・問題の構造,主な対象となる分野,そして今後の課題などを内容とするものである.なお,誌面の都合と問題の重要性から,本稿では〈途上国援助〉で代表される国際保健協力活動の広がりの問題に主な焦点を当てる.事実,そこにこそ問題が集約的に存在し,その現実的対応が今日的に要請されているからである.
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