連載 ルポ フランスの家族 4
複合家族の広がるネットワーク
児玉 しおり
pp.850-853
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100328
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複雑きわまる家族関係
知人クレールさん(25)の家庭は非常に複雑だ。両親は彼女が1歳半のときに離婚した。母親のマリーさん(48)が養育権を取得し,5年間は母子2人暮らしだった。その後,マリーさんはブルーノさんという男性と再婚(事実婚)し,現在17歳(ノルベール君)と6歳(ガスパール君)になる2人の男の子をもうけた。クレールさんは18歳まで母親と義父,義理の弟とともに暮らした。18歳で家を出たので,下の弟とは生活をともにしていない。一方で,実父とは関係を保ち,隔週末と長期休暇の半分を実父の家で過ごした。教育熱心な父は勉強もよくみてくれた。クレールさんによると,離婚しても両親の関係は良好で,娘に対して相手の悪口や相手を批判することは一切言わなかったという。進路やいろんなことも両親が話し合って決め,乗馬,音楽,写真などいろんな習い事をさせてもらい,両親の愛情を受けて育ったと思っている。12年も一緒に住んだ義父とも仲はよく,義理の弟たちとの処遇の差も感じなかったが,やはり関係に距離があったのか,いまは全く会っていない。
マリーさんはブルーノさんと15年間連れ添ったが,2年前に別れ,研究者である現在の夫アルバンさん(52)と1年前に再婚。現在は自分の息子2人と,アルバンさんが最初の妻との間にもうけた子のうち長男(20)の計5人がパリ郊外に同居している。
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