特集 医療費を理解する! 保健活動の指標としての効用と留意点を知る
レセプト傷病分析ソフトPDMを用いた医療費分析の実践例
岡本 悦司
1
1国立保健医療科学院経営科学部経営管理室
pp.634-639
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100289
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別項でも述べたとおり,医療費は総額だけみて比較しても意味をなさない。本稿では,レセプトを分析する際に複数の疾病を「相場」にもとづきそれぞれの割合を分配するPDMを紹介する。PDMはフリーウェアなので,実際に使用してその意義を確かめていただきたい。
客観的な傷病分析手法の必要性
■レセプトを額面どおり総額でみてはいけない
保健事業の経済評価を適切に行うためには,傷病別分析が不可欠であり,傷病別分析のためには,レセプトの日数と点数を傷病別に正確かつ客観的に測定できなければならない。
ここに糖尿病と高血圧の2つの傷病名の記載された診療日数3日,医療費2万円のレセプトがあったとしよう。従来の主傷病法では,このレセプトが糖尿病に分類されると3日と2万円はまるまる糖尿病の医療費とされ,高血圧に分類されると全額高血圧の医療費にカウントされる。どちらに分類されるかは分類者の判断次第…。そんな粗っぽい分類法で「介入群の高血圧の1件あたりの医療費は対照群より2.7%低下した」と分析することが,いかに不毛であるか理解できよう。
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