特集 医療費を理解する! 保健活動の指標としての効用と留意点を知る
医療費分析を通じて見えてきた問題点と評価の視点―石川県保健所が支援した市町村の医療費分析
竹本 玲湖
1
1石川県南加賀保健福祉センター
pp.628-633
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100288
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保健所による市町村支援事業として医療費分析を行った結果,保健事業の問題点が浮かび上がってきた。敷居が高く感じられる医療費分析だが,実施したときの収穫は大きい!
医療費分析との出会い
私は,1990(平成2)年度までは,保健師として主に対人サービスを担当する保健予防課に所属していたが,それ以降は健康教育や調査研究を実施する保健普及課に所属することが多くなった。そこでは主に「調査・研究・地区診断」という業務を担当し,健康指標を作って市町村へ提供したり,アレルギーやアルコール,タバコの実態調査をして,新しい分野にも取り組んできた。
しかし,いつも頭のなかでは「いま行っている調査研究はこれでよいのか? 報告書を作成することが最終目的ではないはずだ…」という疑問を感じていた。そして1997年度,私にとってその疑問を解決する大きな転機が訪れた。私がT町の医療費分析支援を担当することになったのである。医療費分析をしたことのない私が担当となったのは,下記のような偶然が重なってのことだった。
①地域保健法の施行により,保健所業務の大きな柱として「市町村支援」が位置づけられた。
②私がT町の地区担当に決まった。
③これまでに医療費分析を手がけた経験がある川島ひろ子所長が着任された。
④T町から「医療費分析をしたいので保健所に支援してほしい」と依頼がきた。
本稿では,1997~2001年度にかけて石川中央保健所で取り組んだ結果を報告する。
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