連載 レセプト情報を活かす・4
医療費分析システムとレセプト情報
鹿妻 洋之
1
1オムロンヘルスケア株式会社経営戦略部 ホームメディカルケア戦略グループ
pp.611-614
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101112
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2008年度医療制度改革において,都道府県は自らの医療費適正化計画を策定することが求められることとなった.この医療費適正化計画は,健康増進計画,医療計画,介護保険事業支援計画等の関連計画と整合を取りながら策定する必要があることから,これまで2回にわたり国立保健医療科学院において,各都道府県の医療費適正化計画担当者に対して総合医療政策研修が実施されたところである.都道府県医療費適正化計画における医療費分析は,地域の状況に合致した施策となっているか,数値的に裏付けることにその意味があることから,都道府県医療費を求めることが重要となる.
何をもって都道府県医療費と定義するのかについては様々な議論がある.医療機関の所属する都道府県で考えるほうがレセプトを用いて集計する上では簡単ではあるが,交通手段の発達に伴い,自都道府県外への入院・通院が増えている現状を考えると,この医療費を住民数で割って1人当たり医療費を算出しても意味を持たなくなる.一方,加入者の居住地で判断する場合,本来の意味での都道府県民医療費を算出することが可能と言えるが,被用者保険側では居住地把握が十分なされていないという問題点が残る.さらに,国民健康保険には低所得者は高齢者が集中しやすいことを考えると,各保険制度における疾病構造や受診傾向を同一視して良いのかといった問題も残っている.
このため医療費適正化計画における医療費分析では,加入者居住地の疾病構造と制度間の比較という2つの視点を持って,作業を進める必要がある.
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