特集 よくわかる! 精神疾患対応 これ1冊―内科医と精神科医の連携のために
第8部 知っておきたい最近の精神疾患関連トピックス
7 ひきこもりの多面的理解とその対応
加藤 隆弘
1
1九州大学大学院医学研究院精神病態医学
pp.331-338
発行日 2024年3月26日
Published Date 2024/3/26
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000708
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Summary
1.「社会的ひきこもり」は,6か月以上にわたり,就労・学業など社会参加をせずに家庭内にとどまっている現象であり,国内では140万人を超えると推定される.
2.統合失調症・うつ病・不安症・パーソナリティ症・心的外傷後ストレス症(PTSD)など様々な精神疾患との併存に加えて,潰瘍性大腸炎・疼痛性障害・アトピー性皮膚炎など様々な身体疾患への併存も示唆されている.
3.ひきこもり状態にある人は,精神疾患への偏見などのため精神科受診を躊躇しがちであるが,身体症状や身体疾患のために内科医を訪れることはまれではなく,内科医がひきこもり支援のためのゲートキーパーになることで,ひきこもりの早期発見・早期支援の実現が期待される.
4.日常臨床で「ひきこもりかも?」と疑われた場合には,ひきこもりのリスクや重症度を測る「1か月版ひきこもり度評価尺度(HQ-25M)」や「病的ひきこもり」か否かを簡便に評価できる「ひきこもり診断スクリーニング票(HiDE-S)」といった自記式アンケートが有用である.
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