調査報告
大規模自治体における介護予防が必要な対象の把握経路に関する調査
鳩野 洋子
1
,
岩本 里織
2
,
岡本 玲子
3
1国立保健医療科学院公衆衛生看護部
2神戸市看護大学保健看護学講座
3神戸大学医学部保健学科
pp.146-151
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100110
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■要旨
本調査の目的は,人口規模が大きな自治体において,介護保険による給付が必要な状態になることの予防が必要な対象者の把握の経路に関して,その実態を明らかにするとともに,課題について検討することである。
方法は,郵送法による質問紙調査である。人口30万人以上の自治体本庁の介護予防担当部署宛に調査票を送付し,介護予防にかかわる中心部署,具体的な把握経路,把握のための基盤の状況,主観的な把握の評価,把握のための工夫などについて調査を実施した。
64自治体から得られた回答を分析に用いた(有効回答率85.3%)。その結果,現状において広く活用されている経路は,本人や家族からの相談であった。中心部署別でみると,在宅介護支援センター単独,もしくは複数の部署が中心となって介護予防活動を展開している自治体において,基盤の整備状況や主観的な評価に関して「できている」と回答した割合が高かった。また,基盤と評価との関係をみると,主観的な評価の高さに関連がみられたのは,介護予防が必要な対象像の明確化,対象の状態像別の介護予防サービスの基準があるなどの項目であった。
自治体の現状は,系統的な把握に向けて取り組みを開始した段階であることが伺われるとともに,今後は介護予防が必要な対象像,サービス基準の整備などに関して,自治体内の合意形成を行うことからはじめる必要性があると考えられた。
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