研究
A県の駐在制度下における保健師活動
平尾 恭子
1
,
畑下 博世
2
1和歌山県立医科大学保健看護学部保健看護学科
2滋賀医科大学医学部看護学科
pp.152-158
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100111
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■要旨
本研究の目的は,1957(昭和32)~1986年に施行された駐在保健婦制度下におけるベテランの保健師3名の活動内容を分析し,活動の特性を明らかにすることである。対象者には,ナラティブ・イグザンポラー・アプローチを用いたインタビューを実施し,当時の保健師活動を逐語的に記録し,研究者間で分析・解釈を行った。
結果,〈地域に出かけ生活の実態をみる〉〈住民と親しくなって本音を聞く〉〈1人ひとりの思いを地域につなげる〉〈根回ししてチームを組む〉〈住民のニーズを形にして地域を変える〉〈根拠をもって予防的活動に取り組む〉〈ともに考え,ともに生きるという姿勢〉〈プロとしての使命感と自己研鑽〉〈保健所と市町村の間で揺れる浮草稼業〉といった9つの要素が抽出され,個人の課題解決を地域の課題解決に連動させて活動していたことが明らかとなった。そして,活動のなかで対象保健師が最も大切であると認識していたことは,パートナーとして住民の生活に直に接し,住民のニーズを自らの五感でとらえ,健康課題の解決に向けともに活動することであり,このことは駐在当時も現在も変わらず,公衆衛生看護活動の本質であるといえる。
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