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臨床実習における学習の内在的モチベーションに関する考察
花田 妙子
1
1産業医科大学医療技術短期大学
pp.21-24
発行日 1987年1月25日
Published Date 1987/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663909001
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はじめに
内在的モチベーションとは,自己の内部で起こる学習しようとする欲求である.たとえば,松本は数学の学習における内在的モチベーションについて,次のように言っている.“数学の学習で,あの単純機械的で無味乾燥なはずの因数分解などが,練習してわかってくると次第におもしろくなってきた経験をもつ人がいるであろう.これはわかることによって自己の内に新しい欲求が生じてきたのである.外部からのプラスやマイナスの刺激でなく,自己の内面に学習をしようとする欲求が次第に拡大してくるのである.これが学習に対する内在的モティヴェーションの典型的事例である”1)
看護の学習,特に臨床実習場面における学習においては,ともすれば従来の看護業務の枠の中で,型通りに動くことが要求され,学習の基本的要因としてのモチベーション等については無視されることも少なくない.したがって,学生の臨床実習を進めるに当たり,人間の内部に自発的に生じる学習への欲求を尊重する立場が必要と考えられる.つまり,ひとつの学習の成功によって,自己の内部に発生する喜びや充実感が次の内的モチベーションとなってゆくことに注目し,臨床実習における学習意欲を高めてゆくという見地から,学生が体験している内在的モチベーションについて探究することは重要と考えられる.
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