施設見学によせて
総武病院における精神科療法及び看護—中毒など適応異常の治療とその特殊性
青木 義治
1
1総武病院
pp.30-31
発行日 1962年8月1日
Published Date 1962/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908770
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総武病院の特殊性
私共の病院は,昭和28年8月開院されました。敷地は約1万坪。建物約2500坪。現在入院患者は480名で,従業員133名です。診療科目は精神科,神経科ではありますが,主として酒精や各種薬物中毒症の治療を行なうので厚生省から建設資金など特別援助を得ています。
昭和27年ごろ,覚せい剤中毒症が青少年の間に爆発的に流行し,その人たちを治療するために在来の精神病院では,集団的に収容し治療するなどということは考えてもいませんでした。これは,これら中毒者の大部分が不良社会に足をふみ入れた青年たちで,まともな社会生活をする意欲などなく,中には,俺たちは何も中毒にかかっていないと反抗したり,またこんな鍵の中の窮屈な生活などできないといい興奮したりして,集団的に収容することはむずかしく,かりに入院しても我儘放題な欲求をなし,それがかなえられぬとかっと激情し,看護者のいうことをきかず建物をこわして離院したりしたのです。どこの病院でも中毒者には手を焼いたものです。しかしこまりはてても,現在いる中毒者をすてておくわけにはいきません。そうしたことから,私共同じ心をもっているものが,厚生省の援助のもとにこの病院をつくりました。
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