編集デスク・18
枕にならない本
長谷川 泉
pp.51
発行日 1962年8月1日
Published Date 1962/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908777
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学士院恩賜賞を受けた笹淵友一博士の受賞祝賀会があった。「文学界」を中心とする浪慢主義文学の研究の三著三千頁に及ぶ業績に対する授賞である。近代文学関係の研究者ばかりでなく,各層から多くの人が集まったのは,博士の研究の広さと,人徳のしからしめるところであろう。遠く九州からも母校九大関係の学者がはせつけていた。
枕になる本ということばがある。大著・大冊で,枕になるくらいの厚みを持つ本のことをいう。医学書院の医書では枕になる本をすでに数十冊つくっているが,一般の本で片々たる本は,もちろん枕にならない。ゆえに枕になる本は,量的にも千頁を越えるような大冊でなければならない。そして,学界に認められ,顕彰されるような本は,ただに量的な大著というばかりでなく,当然質的にもすぐれたものである。
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