NURSING EYE
女子栄養大学での食生態学の研修から学んだこと—自分をみることで患者をみる力を育てることの重要さを学ぶ
尾岸 恵三子
1
1東京女子医科大学看護短期大学
pp.386-389
発行日 1988年7月25日
Published Date 1988/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908525
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はじめに—食生態学との出合い
私は1985年4月から1987年3月まで,女子栄養大学の大学院で学ぶ機会を得た.栄養学研究科の中で私が専攻したのは,食生態学(Ecology of Human Food)である.この分野を日本ではじめて提唱され,私の大学院での指導教授であった足立己幸先生は,食生態学をはじめは「人間食べること学」と名付けたのだと説明される.私が学んだことは,このことを患者におきかえた「患者食べること学」であり,そのためには自分の食生活を写しながらみることが大事であるということである.
7年ほど前になるが,看護教育の場で慢性期にある対象の看護の単元,および実習と食事療法の単元を担当していた時,看護の中で食生活への援助の重要性を認識すると同時に,食生活が患者にとってより健康的でその人らしく営む力となるような援助,すなわち食生活の自立への方向にむけて関わることの困難さをも体験した.さらに,再入院を繰り返す患者に出合った時,入院中に食生活の行動変容を可能にする関わりが充分になされていない現実を知った.そして,どのような援助が各々その患者にとって,食生活の行動変容を可能にするのか,有効な援助方法を模索していた.
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