特集 治療の手だてのない患者への援助
患者にそのままの自分を出してみた
矢込 恵美子
1
1神奈川県立長浜病院8病棟
pp.939-942
発行日 1978年9月1日
Published Date 1978/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918488
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はじめに
予防・治療医学の発達した現在の医療において,数多くの病気から人々は救われている.しかし,それらの医療を受けても,治癒する見込みのない人々もいる.難治性の結核,癌,難病,その他いろいろな病気のために,明日の希望もないまま療養生活を送らざるを得ない人々がいる.
これら現在の医学ではどうしようもない人々へ,看護側として何ができるのか,と考えたとき,何もできない,との答えしか出てこなかった.何もできないまま患者のそばにいることはつらい,そのつらさに堪えきれず逃げだしたい思いにかられる.しかし,自分自身から逃げ切ることはできない.
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