NURSING EYE
ちいさな体験—教わることは教えること,そしてともに学ぶこと
山口 美穂子
1
1国立療養所熊本南病院
pp.258-261
発行日 1988年5月25日
Published Date 1988/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908506
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新しい任地で治療棟(外来・中央滅菌材料室・手術室,表1)を受け持つことになった.看護学校卒業後13年目の終わりだった.その大半を精神科看護の経験しか持たない私にとっては,まさに未知の世界だった.何もかもが新しい体験として,勉強しなければならないことばかりだった.まして,スタッフに対して教育的な立場をとれるような私では,全くなかった.かろうじて,頭の中では理解できる事柄でさえも,いざ実践となると,ひとつひとつスタッフに教えてもらわなければならなかった.ただ,一生懸命だった.
しかし,今振り返ってみると,自分自身の変化はもちろんであるが,治療棟チーム全体の雰囲気が変化していることに気づく.それは,非常に活気に満ち,向学心にもえ,楽し気である.自ら,常に何かを求めて仕事に取り組む姿勢にあふれている.そしてスタッフも,各自が変化した自分にしっかりと気づいている.これは,はからずも起こった.あまりにもちいさなチーム(4名,治療棟のうち中央手術室の3名と婦長1名)の体験であるため,一般化できない部分もたくさんあるかもしれない.しかし私は,この体験を大切にしたいと考えている.そこで,このチームの変化に関与したと考えられる要因を,自分の思いつくままに表現してみたいと思う.
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