連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・74
ちいさな一歩 大きな成長
柳田 邦男
pp.248-249
発行日 2012年3月10日
Published Date 2012/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102382
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「柳田先生こんにちは」といったくだけた書き出しではじまる子どもたちや親たちからのたよりを,昨年秋もたくさんいただいた。以前この欄で紹介したことがあるが,東京の荒川区が推進している「親子で絵本を読んで感想の手紙を柳田さん宛に送ろう」という活動が反響を呼んで,毎年募集期間の夏から秋にかけての時期に,数百通の手紙が寄せられるのだ。昨年は4回目で,子ども(小学生)からは529通,親(一般)からは20通だった。
家での生活がケータイ,パソコン,テレビなどに依存的になってしまうと,読書離れや家族の会話が稀薄になり,子どもの心の発達にゆがみが生じやすくなるので,子どもにも大人にもみずみずしい感性や生きるうえで大切なことへの気づきをもたらす絵本に親しもう,できるだけ読み聞かせをしようというのがねらいだ。実際,毎年寄せられるたよりを読むと,子どもは子どもなりに,親は親なりに,絵本を通してすばらしい気づきをしたエピソードが綴られている。
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