特集1 看護学生の論文
入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
夏休みのちいさな出会いから
髙尾 智美
1
1奈良県立奈良病院附属看護専門学校
pp.660-661
発行日 2007年8月25日
Published Date 2007/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100724
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Mさんと出会ったのは夏休みの病院アルバイトのときだった。何もかもが初めての空気に少しずつ慣れはじめたころ,車椅子での散歩を頼まれるようになった。車椅子を動かすことは学内で少し演習しただけで不安もあった。最初のうちは先輩が率先して行ってくれていたのだが,病棟の忙しさから先輩が不在になることも多くなってきた。そんなときだった。
緊張いっぱいで病室を訪れたとき,Mさんは少し険しい表情でベッドに腰かけていた。私は恐る恐るであったが思いきって声をかけた。
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