わたしの大切な作業・第87回
ともにいるために
永井 玲衣
pp.633
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590070633
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ひとびとの声をききあい、ともに考えあう、対話の場をひらいている。見知らぬひととやることもあれば、長年一緒に過ごしているひとたちの中に入れてもらうこともある。対話はなかなか厄介なもので、必要だと言われながら、面倒な営みだと思われている。こわいと言うひともいる。たしかにそうだろう。だから少しでも、その対話が自分にも誰かにも、無理をさせない場になったらいいなと思う。
場をひらくひとのことをファシリテーターと呼ぶことが多い。だがわたしはもう、その言葉を使わなくなった。その言葉のもとだと、なんだか場の管理人みたいに自分がふるまってしまいそうで、嫌だったのだ。ファシリテーターという言葉を使わなくなってから、わたしは対話の中で誰かの考えをまとめたり、整理したりすることもしなくなってしまった。
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