連載 カラーグラフ
食事ウェ〜ブ12か月・12(最終回)
患者から学び,そしてともに歩む
小島 昌恵
1
1札幌麻生脳神経外科病院栄養科
pp.194-195
発行日 1994年3月1日
Published Date 1994/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904481
- 有料閲覧
- 文献概要
患者さんから学ぶことを原点に
栄養士として当院に勤めるようになってはや10年.開院した頃は,経験不足ということもあり,おそまつな献立に苦情が舞い込みました.また「こんなものいらないよ」という嚥下困難の患者さんを目の当たりにさせられたり,と苦しい日々が続きました.今振り返ると患者さんから教えられることばかりだったように思います.
ある日の昼食時,病棟ナースから電話が入りました,糖尿病で食事療法を受けているTさんに牛乳を飲むように説得してほしいということでした.Tさんにとって,牛乳は本来欠かせない栄養源です.そのせいもあってか,Tさんとナースの間には「飲まないとダメよ」「いや,飲まない」という押し問答があったようです.私は早速Tさんのところに行き「こんにちは」と声をかけてみましたが,後ろを向いたまま拒絶されてしまいました.経験の浅い私はとにかく牛乳の話を持ち出さなくてはと,いろいろと試しましたがどうしても会話がつながりません.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.