教養講座 世界史の女性像・4
中世ヨーロツパの女性たち(1)
井上 一
1
1横浜市大
pp.37-39
発行日 1958年5月15日
Published Date 1958/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910599
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ゲルマン人の世界
この号では中世ヨーロツパの女性像についてお話しいたします。中世とは,前の回でお話しした,ギリシヤ・ローマ及びその以前の時代を古代とよび,何回か後にお話しするルネッサンス以後の時代を近代とよぶ,その中間の時代という意味です。この時代は前にお話ししたローマ帝国が衰え,それにかわつてゲルマン人という民族が歴史の立役者となつて来る時代ですので,このゲルマン人についてすこしお話ししておきます。
今英語でドイツの事をジャーマニー(Germany)といいますが,これはゲルマン(German)人の国という意味で,従つてゲルマン人とは元来今のドイツを中心として住んでいた民族を指します。ローマ帝国ができたころ(紀元前6世紀末)ゲルマン人はやつとかんたんな農業や牧畜を営んで,事があれば首長にひきいられて戦争するという未開の民族でした。
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