特集 健康へのアプローチ
健康教育はどう創られるか—ケアの視点から考える
新井 京子
pp.539-546
発行日 1985年9月25日
Published Date 1985/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908138
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いま,世界のいずれの国の人びとの間でも,共通の話題となり,共通の目標とされることは‘平和’と‘健康’である.にもかかわらず,このことほど到達地点があいまいなテーマはないと思える.また‘健康’の概念についても,定説なき健康時代といわれるほどに,その考え方も展開の仕方もさまざまである.
肥満は高血圧症,心臓疾患の敵であるとコマーシャルされれば,やせる薬,寝ていてやせられるコルセットの類があっという間に売り出される.一方では,戦後40年,営々として研究し成果を納めている医学・看護学・栄養学・公衆衛生学などを基に,制度化による公衆衛生の普及効果をつみ合わせてきた結果,日本人は世界一の長寿者となった.しかし,医療費は増大し,心を病む人びとが増え,核家族・小家族化した家庭では,子どもや老人のホームケア機能さえ保持できなくなっている.
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