21世紀の看護を考えるルポルタージュ ホスピスへの遠い道—マザー・メアリー・エイケンヘッドの生涯・12
人間の健康な部分と,病院という虚構について
岡村 昭彦
pp.178-184
発行日 1984年3月25日
Published Date 1984/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907945
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看護婦が日本のバイオエシックスをつくり出すために
ワシントンD. C. を発ち,ヨーロッパに向かう前日の晩,私と木村夫妻の3人は,1冊の日本語の本のページをめくっていた.木村利人が,‘日本のお医者さんは乱暴なことをするなあ’と言って,ため息をついた.それは,1982年3月末にメヂカルフレンド社から発行された,卜部(うらべ)文麿という医師が書いた“バイオエシックス”という本だった.この本は武見太郎の監修で,‘最新医療秘書講座’の‘秘書専門教科・4’となっており,日本医師会が企画した講座の内容を出版したものであった.一般に市販されていないために1年も気づかなかったのだが,今回,アメリカにくる前に友人の医師から教えられて,初めて存在を知ったものであった.
武見太郎の‘監修の序’が昭和55年10月となっているから,この講座は1980年に開講されたものと思われる.武見はそのとき日本医師会長であり,木村利人と私は日本医師会館の一室で彼に会い,彼の口にしているバイオエシックスについて尋ねたことがあり,それはテープに記録されている.
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