21世紀の看護を考えるルポルタージュ ホスピスへの遠い道—マザー・メアリー・エイケンヘッドの生涯・8
日本における2か月間:名古屋ゼミ・詩・長い前文
岡村 昭彦
pp.678-685
発行日 1983年11月25日
Published Date 1983/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907888
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浜名湖のほとりの書庫に帰って
幸運なことに,金属製のいまひとつのトランクにぎっしりと詰めた瓶(ビン)類は,1つも壊れていなかった.私を待ちうけていたアシスタントのM嬢は,その中から次々とパンツや靴下や下着などに包まれて取り出される,泥だらけの様々なガラス・ビンにあきれ顔であった.
私は流し台にずらりと並んだこれらのビンを,天龍川から引かれてくる冷たい水道の水に浸し,用意してあった大小のビン洗いの棒で,ていねいに磨きあげ,入口に近い窓側のガラス台の上に並べて目を細めた.これが,年末からの小さな旅行のささやかな報酬であった.
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