連載 大牟田発! 地域の縁側で認知症ケア・10
10か月間の取り組み
牧坂 秀敏
1
1地域福祉館「藤井さん家」
pp.66-69
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100993
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Hさんのおでかけ
●買い物好きなHさん,大満足
早いもので,私が大牟田に来てから丸一年。10月末には恒例の「いきいきふれ愛あきない祭」(詳細は本誌12巻4号参照)が開催された。今年は藤井さん家の利用者4名とともに祭が行なわれている街中へ出かけることとなった。朝の迎えの車のなかで,買い物好きなHさんに「買い物をしましょうか」と声をかけると,「えっ,うれしか。お金がないけど,貸しといてください」と喜ばれた。お金はご家族に話をしてすでにお預かりしている。
朝のバイタル・チェックを終えて,早速移動した。Hさんが藤井さん家を利用するときは,いつも杖を使っているが,シルバー・カーも持参している。本人に街中ではどちらを使うか確認したら,シルバー・カーのほうがいいという。車から降りたHさんはシルバー・カーを押して出店をのぞかれる。「気持ちいいですね」と久々の買い物とあって表情もいきいきしている。同行の男性陣はというと,買い物にはまったく興味はない。つめ放題のみかんの試食に手を出すくらいである。Hさんが数軒の出店をのぞいて買い求めたのは,みかん,バナナ,豆菓子,海産物などをそれぞれ2房ずつ,藤井さん家と自宅用に。その日の昼食後,「バナナをいただけませんか」とリクエスト,「皆さんもどうぞ」と勧めていた。
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